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ファウリングとは

最終更新日:2026.01.22 QCM-D

物体の表面に不要な物質が付着し堆積することで、付着対象を汚染し機能を妨げる現象をファウリングと呼びます。
英単語での「fouling」は、汚染や汚れそのものや、それらによる阻害・機能低下を指す言葉とされています。
一方カタカナで「ファウリング」と表記される場合は、バイオテクノロジーや水処理の分野における専門用語として用いられていることが多く、分野により若干意味合いが異なります。

当コンテンツでは、ファウリングの基礎を解説しながら、ファウリングの発生・進行の解析方法についてご紹介いたします。

ファウリングの種類

ファウリングは、付着する物質によっていくつかの種類に分けられます。

無機ファウリング

無機物によるファウリングを、無機ファウリングといいます。
無機物の例として、アルミニウム、鉄、カルシウム、マグネシウム、マンガンなどが挙げられます。これらは水処理の分野でよくみられるファウリングです。

有機ファウリング

有機物によるファウリングを、有機ファウリングといいます。
有機物の例として、タンパク質や油などが挙げられます。これらは水処理の他に、医療分野における生体適合性材料などの研究にも取り上げられます。

バイオファウリング

有機物の中でも、微生物の付着によるファウリングを、バイオファウリングといいます。
水処理においては藻類などによるろ材・ろ過膜の詰まり、生物分野においては生体表面への細菌の付着・蓄積などが挙げられます。
またバイオファウリングでは、付着した微生物が、水中や湿潤な環境で水を含んで成長していくことも特徴です。

ファウリングの解析方法

ファウリングについて、その発生メカニズムや進行過程を明らかにするため、様々な研究が行われています。
それらは、ファウリングを抑制するソリューションの開発や、ファウリングが起こりにくい材料や表面素材の設計などに活用されています。

具体的なファウリングの解析方法の一つに、QCM-D法があります。
QCM-D法とは、水中に含まれる物質が対象の表面にどの程度付着しているかを、周波数の変化をもとに質量変化を解析する方法です。
さらにQCM-D法の特長の一つとして、粘弾性や膜厚の情報も得ることができます。

そのため、より粘弾性があり水を含んで堆積するバイオファウリングの解析において、特に有効であるとされています。

QCM-D法によるファウリング解析の例

ではQCM-D法によるファウリングの解析として、具体的なアプリケーションを挙げてご紹介いたします。

医療・バイオ分野

QCM-D法を用いることで、生体高分子が材料表面に付着・蓄積するファウリング現象を時間経過ごとに捉えることが可能です。
医療・バイオ分野におけるタンパク質や生体高分子を扱う研究では、材料表面との相互作用が性能や品質に影響するため、その挙動を定量的に評価する手法が求められています。

QCM-D法では、表面にどれだけ物質が付着したかだけでなく、付着層が硬いか柔らかいか、単層か多層かといった情報まで解析できます。
これにより、ファウリングの進行過程や条件による付着状態の変化を把握することが可能です。

生体高分子、ポリマー、バイオ由来物質などの表面付着が課題となる研究において、有効な解析手法の一つです。

水処理分野

QCM-D法を用いることで、水処理用膜におけるファウリングの形成過程や洗浄時の挙動をリアルタイムで評価することが可能です。
水処理や海水淡水化では、膜表面や膜孔内に有機物が蓄積するファウリングが、処理効率の低下や運転コスト増加の要因となっています。

例えばQCM-D法では、膜材料表面を模擬した条件下で、有機物の付着挙動と、その後の洗浄による変化を解析できます。
加えて、異なる洗浄条件を比較することで、どの洗浄方法がファウリング層を効果的に除去できるか、またどのような性質のファウリングが残存しやすいかといった点を評価することが可能です。

このような解析により、洗浄剤や洗浄条件の違いが膜表面に与える影響を可視化します。
QCM-D法は、膜材料の評価、ファウリングメカニズムの理解、洗浄プロセスの最適化など、水処理分野における膜研究・開発を支援する解析手法として活用できます。

まとめ

ファウリングは、水処理やバイオテクノロジーなど幅広い分野において、性能や品質に影響を与える重要な課題です。その挙動は表面・界面で進行し、付着量だけでなく付着層の構造や特性を含めて解析することが重要です。

ファウリングの発生メカニズム解明、材料や膜の評価、洗浄・抑制手法の検討など、「表面で何が起きているかを知りたい」研究・開発において、QCM-D法は有効な選択肢の一つとなります。
QCM-D法の適用可能性については、ぜひご相談ください。

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