導入事例詳細

国立大学法人 東京工業大学 物質理工学院
ライフエンジニアリングコース(材料系 C群) 林研究室
林 智広 准教授 殿

ご研究内容について簡単に概要をお教え下さい。

 東京工業大学 物質理工学院 林研究室では人工物表面とタンパク質・脂質などの生体分子、細胞との相互作用、またそれらの界面における分子プロセスを解析することで、生体適合性の物理的・化学的・生物学的起源(メカニズム)、新しいバイオマテリアル設計のための情報を得るための基礎研究を行っています。最近はデータ科学を用いた材料提案システムの構築も行っています。

Biolin Scientific社製のQSenseの存在はどうやって知りましたか? また導入の決め手は?

ドイツ・ハイデルベルグ大での博士課程在学中、開発者のChalmers工科大のKasemo教授の研究室、Biolin Scientific社の前身であるQ-Sense社に滞在する機会があり、そこでQCM-Dに関して知りました。帰国後、東工大での博士研究員時代に無機材料を認識するタンパク質と材料間の相互作用を測定するというミッションの中で、タンパク質と材料間の結合の硬さを評価できる粘弾性測定が可能である事から、D300(初代モデル)を選定致しました。その後、4チャンネル(サンプル)同時測定が可能なAnalyzerモデルを導入し、よりハイスループットでコンスタントにデータが取得できるようになりました。

Biolin Scientific社製のQSenseを貴所(研究室・部門)ではどのように活用していますか?

我々の研究室では、単分子膜、脂質2重膜、高分子膜、無機材料表面などの様々な表面へのタンパク質の吸着などの解析に利用しています。特に新しい表面を作製した際に、生体分子との相互作用を簡便に解析出来るので重宝しております。特に粘弾性測定は材料表面と分子の相互作用の強さに加えて、材料表面上への吸着後の構造変化などの情報も与えてくれることが多く、表面における分子の挙動の描像を得ることが出来ます。

ユーザから見たBiolin Scientific社製のQSenseの利点を教えて下さい。

 我々にとってのQSense Analyzerを用いるメリットは、

1)測定時のデータが非常に安定している。

2)測定に必要なサンプル量が少ない。

3)実験室での専有面積が小さい。

の3点です。 

今後のQSenseを使った研究のご予定や、弊社およびBiolin Scientific社に期待する点を教えて下さい。

 今まではQCM-Dを材料表面上への生体分子の吸着の解析に用いてきましたが、現在は細胞、大腸菌などの微生物の材料表面上への吸着・接着過程の解析に応用しております。また、エアロゾル状態のウィルスの材料表面への吸着・状態変化などの研究にも展開し、材料を介したウイルス感染経路の解析も行っております。

東京工業大学・物質理工学院・林研究室様のQCM-Dを用いた研究業績・論文リンク

QCM-Dを中心とするタンパク質吸着データを機械学習を用いて学習し、化学構造からのタンパク質吸着特性の予測・材料提案を可能とするシステムを提案 (東京工業大学様のプレスリリース

 

② QCM-Dを用いて高分子膜、単分子膜、金属表面とタンパク質の相互作用の解析を行った(センサー表面の前処理に関する記述を含む)

https://pubs.rsc.org/ko/content/articlelanding/2012/cp/c2cp41236e/unauth#!divAbstract

https://www.mdpi.com/2079-6412/10/1/12

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/09205063.2017.1303120

https://avs.scitation.org/doi/abs/10.1116/1.2794712

https://pubs.rsc.org/az/content/articlehtml/2016/cp/c6cp01168c

 

③ バイオセンサー表面の受容体分子の活性のナノスケールでの可視化を実現

 

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