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新世代のQCM-D、QSense Omniの登場!

1999年以来、QCM-Dのパイオニアとして世界をリードしてきたスウェーデンBiolin Scientific社はこの度、第4世代のQCM-D装置「QSense Omni」を発表、昨年秋より発売を開始しました。

QSense Omniは、これまでよりも更に高品質で信頼性の高い測定データを、誰もが簡易的に取得できる様に設計された画期的な新世代機種となっております。

以下新しくQSense Omniに搭載された機能の一部をご紹介します。

また詳細については製品ページも併せてご覧下さい。


製品設計と機能


1.最先端の信号処理~ノイズの大幅削減と測定スピードの向上


QCM-D比較データ(図1-1, 1-2)から、QSense OmniのS/Nレベルは例えば既存機種であるQSense Analyzerよりも高いことがわかります。またセンサーのロック機構の改善によりマウントエラーが従来機種と比較すると4%程度に抑制されるなど大幅に改善され、ノイズの大幅な低減により、サンプルレートに影響を与えることなく、ベースラインからの微小な信号のシフトも検出可能になりました。異なるサンプリング間隔でノイズレベルを比較したテストでは、QSenseOmniのノイズは、従来機種であるQSenseProと比較し4倍以上、QSense Analyzerと比較すると5倍以上も低いことが示されました(図2)。併せて理論的なLOD(Limit of Detection: 検出限界)も低くなることで、データから不要なノイズが排除され、今までより更にグラフが見やすく解釈も容易になりました。

図1-1.  AnalyzerとOmniにおいて同じ高分子電解質を用いて多層ビルドアップ形成プロセスを周波数変化および散逸変化を測定(周波数は青色、散逸はオレンジ色で表す)し、各々のノイズレベルの違いを比較。Analyzerと比較すると、Omniは安定性が格段に向上していることが明らかです。


図1-2. センサーのマウントエラーについてOmni、Pro、Analyzerを比較。OmniはProに比べて約15分の1、Analyzerとの比較では約25分の1と、従来機種よりも大幅にエラーが低減されています。




図2. A) QSense Analyzer、B) QSense Pro、C) QSense Omniの測定速度とLOD(検出限界)について調査したデータです。測定にはSiO2センサーを用い、20℃、15μL/分の流速で純水を流して行いました。またQSense AnalyzerとProについては4つのセンサーを同時並行で使用しました。


高粘度サンプルにも対応:定量データ分析が可能に!


QSense Omniでは信号処理が改良され、高粘度サンプルであっても低ノイズ・高周波で測定ができるようになりました(図3)。これにより、高粘度サンプルを用いた試験データの定量化に対応、以前は難しかった高周波を含めた広範囲の周波数条件で測定データを記録出来るようになり、事後解析で有用なモデリング結果が得られる可能性が高まりました。



図3. QSense Omniを用いた低粘度(水)と高粘度(グリセリン/水混合液)の液体交換時の周波数および散逸係数の変化を示すグラフです。グリセリン/水混合液は、粘度50.7cPで測定。すべてのハーモニクスを所定の高粘度で測定することが可能になりました。


2.シリンジからセンサー上への直下送液が可能に!


―再現性と精度の向上
QSense Omniは、外付けチューブポンプを介して試料を送液する従来型の送液方法の代わりに、機器に内蔵されたシリンジポンプを用いることで、設置試料を直下に設置されたセンサーに最短で送液できるようになり、流路の最短化による試験時間の大幅な短縮を実現しました。このとき送液量や流速は自動制御され、直前の試験からの残留不純物(キャリーオーバー)による測定への影響を防ぎます。これらOmniに採用された新機能により、溶液交換をこれまでよりも迅速且つ正確に実施することが可能になりました。(図4,5参照)センサー上の溶液濃度はより適切に制御され、不要なデータ変動を回避できる様になりました。
 
―分子間の高速反応の検出が容易に
内蔵シリンジポンプによって制御された自動送液システムと直下型の送液方式により、液交換時の再現性と精度が改善され、データ解釈が容易になるだけではなく、センサー上の時間分解能も向上し、信頼性の高いデータの抽出が可能になりました。



図4. QSense Omniの測定グラフ。スクロースと水という粘度の異なる2つの溶液間を交換した際の周波数変化の様子。高速且つシャープな傾きのデータを再現性良く安定的に得られることを示しています。注)グラフでは液体交換時の良好な再現性を表現するため、「上昇」と「下降」の間の液体交換時の傾きを周波数変化量/秒として測定し追記しました。上記のグラフにおけるすべての液体交換時の傾きは、約0.38 Hz/sとなり同一な結果が得られました。


図5. Analyzer(ピンク)とOmni(黄色)における、点線で始まる液交換時の周波数シフトの比較を表したもの。Analyzerと比較してOmniでは液交換プロセスが5倍速いことを示しています。


チャンネル数の拡張性と測定時間の短縮化


QSense Omniの最大4つまで搭載可能な測定チャンネルは、チャンネル毎にすべて独立しており、各チャンネルで異なる試料を用いた実験を行うことも可能で、多チャンネル測定を実施することで、これまでよりも大幅な実験の効率化と測定時間の短縮が見込めます。


温度制御チャンバー


周波数と散逸係数の測定には温度依存性があります。したがって、QCM-Dを用いた測定データから最適な解を得るためには、温度を制御することが極めて重要になります。QSense Omniには、温度制御チャンバー(特許出願中)が内蔵されており、センサーホルダーとサンプル保存容器の両方が同じ温度範囲内に保たれます。これにより、測定中は安定した温度を保つことが可能になりました。


おわりに


一般論として、またQCM-Dに限らず、正確な実験結果を導き出して研究を進展させるためには、分析機器が提供する情報に信頼性と付加価値を持たせることが非常に重要になります。過去数十年にわたり、Biolin Scientific社のQCM-D装置はアカデミーの世界や、企業における基礎・応用研究・製品開発といった分野における、多くの研究者のコミュニティで信頼を獲得し、研究に寄与する重要なデータを提供させて頂き、3000件以上の論文をサポートし、極めて重要な物差しとして科学の発展に貢献させて頂いたと自負しております。我々にとってデータの質は常に最優先事項であり、新しく登場した第4世代の新製品である「QSense Omni」によって、QCM-Dはこれまでの限界を超えてさらに広範な分野へと応用範囲を拡大することができると信じております。




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